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多目的RSは様々な業種に対応可能であり複合的な活動が行われるため、言わば活動のコンビニ空間のようであるが、コンビニとは本質的に利用方法が異なる。コンビニならば食品や各種買い回り品が買えたり、カフェならば飲み物が飲めたり、休憩できたりといったサービス内容が予測可能であるが、多目的RSはその名の通り多目的利用が可能であるためにその利用方法は利用者側に委ねられており自由である。サービス内容が予測可能なお店であれば、そのサービスが欲しい丁度その時点で最寄りにある場所を探せば良いが、多目的RSはむしろその場所性に強い意味が発生する。その理由を以下に示す。
[1.
nakano f]の利用者は大きく二つに分けられる。中野の地域が持つテーマ性に惹かれて集合する人々と、利便性の高い立地性に惹かれて集合する人々である(表 6-1)。中野と言えばグルメやお笑い、音楽、フィギュアなどサブカルチャーが集結する活気あふれる人気の街である。[1.nakano f]の利用者にはお笑いライブや、演劇、展示会などを行う人々がおり、彼らはその活動をサブカルチャーの結集する街、中野で行うことに価値を置いていると考えられる。つまり中野を意図的に選択し、中野でなければならない理由を持っている。しかしその一方で、手芸教室やバザーなど地縁関係の活動やオフ会パーティやハロウィン、コスプレパーティなどの利用で中野を選ぶ人々がいる。地縁関係者は当然周辺地域で一番利用しやすい場所として当施設を利用しているものと考えられるが、選択縁関係者は東京都の中央線沿いで交通利便性が高い中野のポテンシャルに惹かれ、東京各地に散らばる友人の結節地として中野を選択していると考えられる。つまり活動自体は中野である必要がないものの、利用者の交通利便性的に好立地である中野を選択していると考えられる。利用度が比較的低い他の事例においては少し交通利便的な立地性に欠けることからも指摘できる。
このことから多目的RSが高頻度で利用されるための成立要因としては二つのことが考察される。一つは強いテーマ性を帯びた地域であるということ、もう一つは交通利便性の高い地域であるということである。そしてそれらの地域に立地させることが事業性の向上には必要であると考察される。